主権を、暴力からコモンズへ

林 篤志

paramita Co-Founder

かつて「主権」とは、「暴力の独占」を意味した。 なぜ人々は、自由を差し出し、国家という巨大なシステムに服従したのか? それは近代化の過程で、水や森といった「生きる基盤(コモンズ)」が囲い込まれ、自律的に生きる力を奪われたからだ。 基盤を失った人々は、奪い合いの恐怖(万人の闘争)から逃れるため、強力な暴力装置による統治を受け入れるしかなかったのである。 つまり、コモンズを失ったからこそ、我々は暴力に依存せざるを得なかったのだ。
しかし今、気候変動や超国家的な無秩序は、その国家主権の限界を露呈させている。 中央集権的なシステムだけでは、もはや個人の生存と尊厳を守りきれないことは明白だ。
我々は、この歴史的な構造を逆転させる。 コモンズの喪失が主権の喪失であったならば、「コモンズを取り戻すことは、主権を取り戻すこと」と同義である。
我々は、この社会実装の領域を、 「生存のためのコモンズ」と定義する。
その源泉となるのが、「コモンズの再構築」だ。 水、生態系、エネルギー、食、住、そして互助のプロトコル。 これらを生活圏(ローカル)に取り戻し、循環させること。
それは、単なる環境活動やインフラ整備ではない。 国家の暴力装置に頼らずとも生存できる「人間性の回復」である。 「いかなる危機においても、機能不全に陥らない」という、最も強固なセーフティネットの構築であり、安全保障の民主化である。
依存から、自律へ。 支配による統治から、再生による自治へ。
我々は、世界中に分散する「生存のためのコモンズ」と響き合い、国家と並走する社会OS――「オルタナティブ・ステート」の萌芽を、ここ薩摩の地から力強く実装していこう。