小さな半径から
地球スケールへ

丑田 俊輔

私立新留小学校設立準備財団 共同代表
シェアビレッジ株式会社 代表取締役

薩摩は、不思議な土地だ。

なぜ、こんなにも足を運ぶことになったのだろう。

SELFの愉快な面々の存在。
離島を含む全土に分散する、土着の実践者たち。
あるいは、各地から薩摩会議に集ってくる、奇特な人たちの引力だろうか。

それとも、何度見てもはじめてのように感動してしまう、
人間という存在が決してコントロールできない
桜島という活火山のせいだろうか。

霧島連山が育んだ無数の温泉と食とともに、
小さな半径を豊かに生きる人たちの営みに、
これからの社会の希望を感じてしまうからだろうか。

明治維新から150年以上が経った。
この時代に形づくられた日本の社会システムは、
各地で問い直しの時を迎えている。

これまでの延長線上にとどまらず、
再発明するほどの大胆さをもって。

だからこそ、
将来世代が生きる150年後を見据えながら、
いま、行動を起こすことが求められているのだと思う。

その一つとして、鹿児島の源流域にある小さな集落から、
これからの「ふつうの学校」をつくるプロジェクトが動きはじめている。

それは、小学校を単なる教育施設としてではなく、
地域にひらかれた共有地(コモンズ)として捉え、
教育と地域の未来を生み出す場として編み直そうとする試みだ。

全国津々浦々に点在する学校(公教育)は、
もっと多様で、もっと土地に根ざし、
多世代が出会い、学び、問い続ける場となり得るはずだ。

薩摩会議という場は、
こうした草の根から生まれる妄想を、
全国から集う仲間たちとともに探究し、
具体的な構想や行動へと育てていく機会になっている。

同時に、鹿児島の各地で芽吹きはじめた実践を、
全国へ、さらには地球スケールへとひらいていく
イニシアチブの起点にもなりつつある。

鹿児島という土地から、
温泉のように湧き出し続ける無数のプロジェクト群。
それらが相互に絡み合い、刺激し合いながら、
やがて大きなうねりとなっていく光景が、少しずつ見えはじめている。

そして、そのうねりは鹿児島にとどまらない。
私自身が暮らす東北の地においても、
この動きに呼応するように、躍動感あふれる大胆な挑戦が生まれはじめている。

土地は違えど、抱えている問いはよく似ている。
だからこそ、ローカルで芽生えた実践は、
別のローカルへと連鎖し、共鳴していく。

土地々々からはじまる、自律分散的な実践の連なり。
それは、国家や制度を一気に変える革命ではない。
しかし、確実に社会の足元を書き換えていく、静かな力を持っている。

もしかすると、
各地で起きはじめているこの蠢きこそが、
現代における「明治維新」なのかもしれない。