うねりを生む場

廣瀬 理子

日本たばこ産業株式会社 D-LAB Director

混沌の時代だ。正しさだけでは、物事は決まらない。まして、立場の異なる人たちを巻き込み、エコシステムとして何かを形にしようとするなら、なおさらだ。論理は必要だが、論理だけでは前に進まない。最後に決めるのは、空気であり、関係であり、腹の据わり方なのだと思う。

だからこそ、私は「場」に希望を置く。

薩摩会議が特別なのは、正しさだけでは決まらないことを最初から織り込んでいるところにある。社会で起きていること、鹿児島で起きていること、それを他人事のマクロとして眺めるのではなく、自分の暮らしや仕事のミクロに落とし込み、変化を引き受けようとする意思のある人たちが、連なっている。
場には不思議な力がある。誰かの正解を押しつけるのではなく、それぞれの葛藤や思いが持ち寄られ、言葉になり、協働へと変わっていく。発端は小さな火種でも、共鳴が生まれると、流れはうねりになる。うねりは、複数の覚悟の重なりで激しさを増す。

そもそも、守るべきものがある土地ほど、未来に向けた挑戦は生まれつづける。鹿児島には、薩摩会議がある。

場の力とは、たぶんこういうことだ。正しさで勝つのではなく、うねりを起こし、現実を動かす。鹿児島の今は、そのことを強く信じさせてくれる。