過疎地発のパークマネジメント

原本 太郎

一般社団法人アソビシロ 代表理事
NPO法人頴娃おこそ会 公園プロジェクトリーダー
一般社団法人テンラボ プロデューサー

Field|頴娃

#パークマネジメント #新たな公民連携 #地域還元

移住者を迎える風土

南九州市頴娃町は過疎化が進んでいる地域で、これからのまちの存続を危惧した地元有志たちが話し合いを積み重ね、2005年に「頴娃おこそ会」(2007年NPO法人化)を設立しました。「U・Iターンなどの移住者を含む後継ぎを迎えるまち」を理念に掲げ、よそ者・若者を応援する風土が生まれ、現在では、空き家再生、農業観光の促進、ローカル鉄道活性化、パークマネジメントなど多面的な地域づくりに波及し、総務省ふるさとづくり大賞など多くの受賞をしています。
地域総力戦の小さな取り組みによる土壌づくりから、色んな領域での新しいローカルビジネスへの派生に至るまで、地元・移住者・関係人口が入り乱れながら「挑戦と応援が連鎖する」生態系を形成しています。

かつての風景の喪失

過疎地の公園ではトイレ・遊具などの施設の老朽化と、雑草・薮化の問題が深刻です。自治体直営だと管理水準に限界があり、施設の更新も厳しい状況です。少子高齢化で地域コミュニティによる手も加わらなくなり、手を付けられないほど廃れてしまっている所も増えてきています。さらに今後は財政縮減が見えている中で、公園施策としては施設と緑をなるべく減らし省管理化の方向となっており、かつての風景(豊かな植生、子どもたちの遊び、地域の集まり)はすっかりなくなりつつあります。
そういった「かつての良き風景を新しいカタチで取り戻せないか、美しい風景をつくるには」という問いにチャレンジしています。

100年後も語り継がれる風景づくり

頴娃町にある番所鼻自然公園もほとんど人が訪れることのない公園でしたが、約15年掛けて地元・行政・事業者が一緒になって公園のグランドデザインを描き、「100年後も語り継がれる風景づくり」というビジョンを共有しました。実現に向け国・県・市・民間による複合事業、地元法人が構想-設計-施工-運営を一貫して携わる仕組みづくりを行い、2024年には観光客20万人、翌年グッドデザイン賞を受賞しています。これらは頴娃おこそ会による土壌づくりと実践があってのものです。
これらの経験をもとに、他の公園についても海岸線のイメージ形成や公園施策のアップデートと並行しながら、各々のエリアに合わせた「可塑的」なアプローチに着手しているところです。

ローカル版パークマネジメントの実現・展開

Park-PFIなど全国的にも普及しつつあるパークマネジメントですが、そのほとんどが都市部で、ローカルでの事例がまだまだ少ないです。
ローカルだからこそ自然や地域資源、文化風習といった価値を再認識し、本質的な空間づくり、地域コミュニティの再構築、観光・移住施策との連動などにより、ローカル版のパークマネジメントを実現・展開していきたいです。

語り継がれる風景

かつて伊能忠敬が絶賛したという言い伝えのように、150年後も語り継がれる風景をつくりたいです。この地に住む人・訪れる人が思わず誰かに話したくなるような空間・時間・関係性を紡いでいきたいです