サーキュラーエコノミーの
先にある幸せの循環とは?

齊藤 智彦

合作株式会社 代表取締役
一般社団法人大崎町SDGs推進協議会 事務局
NPO法人SELF 理事

Field|大崎

#循環 #地域のファイナンス #混ぜるな危険

リサイクルの町から、世界の未来をつくる町へ。

大崎町は大隅半島東部志布志湾に面した人口12,000人ほどの自治体です。住民による28品目分別により、家庭から排出されるゴミの83%を再資源化。16回の資源リサイクル率日本一に輝き、日本のみならず世界からも注目されています。現在は環境配慮が求められる社会の潮流にともない、大崎町で培われたノウハウをベースに、他自治体の廃棄物処理の適正化支援や、企業とともにこれからの未来に必要な製品やサービスを協働で生み出す「サーキュラーエコノミーの推進」に取り組んでいます。リサイクルの町に様々な主体が集まり、共創をすすめることで世界の未来づくりに取り組んでいます。

環境への取り組みは人々の幸せにつながるのか?

結論から言うとつながります。但し、それは大切な人と過ごす時間や趣味・娯楽などを享受するといった分かりやすい楽しみから得られるものとは異なり、安全や安心といった日々の生活の基盤の部分を支えることで、幸せにつなげられるのだと思います。大崎町でのアクションは、正にそうした世界中の人々の安心・安全を支えていくための土台につながる重要な取り組みだと思っています。しかし、日常の生活に対し過度な環境配慮行動を促す行為は、時として息苦しさにつながります。実際に現代社会に溢れる情報から、そうした息苦しさを感じた人は多いのではないでしょうか?
大崎町で向き合う課題は今まさにそこにあります。必要なことだから、当たり前のように取り組んでもらう必要がある。だからこそ、曖昧ではありますが環境への取り組みをどう人々の幸せにつなげるかが重要だと考えています。

幸せの循環を考える。

現在大崎町では、環境面、いわゆる資源循環を推進する取り組みに加えて、改めて経済面や社会面での循環にも注力することで、「町に住む人々の幸せをどうつくるか?」に重きを置いて活動しています。2020年ごろ国内でSDGsが注目を高めていた際に、大きく発信されていた環境・経済・社会の3つが正に大切だったと言うことを身に染みて感じ、ようやく理解できてきた気がします。
現在は環境を起点に、どう経済・社会に繋げていくかという考えのもと、地域経済の活性化として地元商店街活性化や、関係人口・移住定住促進・若者の居場所づくりなど、地域に人が残り、集まり、幸せに暮らしていけるためのアプローチを展開しています。

「リサイクルをしていて良かった」といってもらえるように

「リサイクルをしていて良かった」といってもらえると良いよね。と言うのは、自分が大崎町に関わり始めた2018年ごろに、まず一緒に活動をしていた大崎町役場の方々と話していたテーマです。リサイクルを通じて得られるインパクトは、本当に多岐にわたります。環境負荷の低減はもちろんのこと、廃棄物処理コストの低減につながり、大崎町ではそこから得られた益金から子供達のための奨学金をつくっています。一方で、他所から移り住んできた自分たちに出来るのは、地域に新しい仕事と生み出し、自分たち同様に新たな人々を呼びこみ、出身者も戻って来られる基盤を作ることだと思っています。最近は、少しずつですが、自分たちの活動をきっかけに若い人たちが戻ってきました。いつかそうした若者や、その親御さんらから「リサイクルをしていて良かった」という声を聞けたらなと思っています。

これからの未来に、美しい過去をつくる。

「これからの未来に、美しい過去をつくる。」は、2025年から新たに合作株式会社として掲げたステートメントになります。日々活動をする中で、町や住民の皆さんと将来ヴィジョンについて議論する機会が多々あります。そうした中で、本当に人々が望む未来の姿は人々が経験してきた「美しい過去」の中にある。という答えが導かれました。それは、幼少期から育まれてきた経験、出会った風景であり、親や出会った人々、先人たちから与えられ形成された「幸せな記憶」です。そうした先人たちの与えてくれたものを大切にしながら、自分たちの活動を続けるで、これからの未来にとって「美しい過去」と呼んでもらえるものを遺していければと考えています。