自分は何のために存在するのか

下園 正博

株式会社下園薩男商店 代表取締役
株式会社まちの灯台阿久根 取締役

Field|阿久根

#イワシ #地域 #存在意義

日本全国で阿久根だけの朝獲れウルメイワシ

私たちが作っているウルメイワシの丸干し。
鹿児島県阿久根市で獲れるウルメイワシは、暖かい地域で育つため脂のりも少ない。だからこそ何十時間かけて乾燥させても脂が酸化せず、噛めば噛むほど美味しい丸干しに仕上がります。これは人間の力ではどうにもできない、この地域の自然がつくりだす特徴です。
そして阿久根の漁師が朝方4時~6時に水揚げする「朝どれ」のウルメイワシは、お腹の中にエサが少なく、丸干しにしたときに苦味が少ない美味しい丸干しになります。
朝どれの乾燥しやすい小さなウルメイワシと朝どれでない大きなウルメイワシとでは価格が10倍違うこともあるので、漁師も朝どれの良い魚をとってこようとするのです。

残すものと変えるもの 斜陽産業を受け継ぐということ

魚は減り、必要としている小さなウルメイワシは獲れなくなり、大きなウルメイワシは需要が減ってきて余ってしまう。需要と供給のバランスに苦しんでいます。
私たちはこのまま丸干し屋としてやっていくのか、それとも需要が減ったのであればもっと違うものを作るべきなのか。丸干しを主軸としない下園薩男商店は「下園薩男商店」ではないのではないか・・・そんな葛藤を抱えながら取り組んできました。
何を変えて何を残すのか。
松尾芭蕉の不易流行という言葉があります。変わるということ自体が不変的なことであり、丸干しというコトをどうとらえるかが大事なのだと感じています。

自分たちは何をする会社なのか

これまで自分たちを「丸干し屋」と定義していましたが、これを「イワシ屋」と定義を変えました。これにはかなりの葛藤がありました。「丸干し」というものを後世に伝えていくことを使命と考えてきましたのでそれを変えるということは自分たちの存在意義を変えるということです。
ですがそれは自分自身のエゴでもあり時代に合わせて考え方を変えていかなければならないことでもあると思います。
企業理念「今あるコトに一手間加え、それを誇り楽しみ人生を豊かにする」この理念のもとに、今あるコトをどのように捉え、一手間はどこまで一手間なのかそれを考えながら丸干しということだけではなく、「イワシ」という広く定義していこうと思います。

イワシといえば世界中の人が下園薩男商店と認識する

イワシはDHA・EPAが豊富で丸ごと食べればカルシウムも豊富です。最近では美容のインフルエンサーの方が当社の商品を常備していると言っていただけて多くの方に拡散もされました。
イワシは魚編に弱いと書くように、鮮度が命の魚です。弱いけれども世界中で一番漁獲され、世界中の生命を支えているのもイワシなのです。弱いけれども支えている。そんなイワシを美容や健康のためにもっと多くの人に取り入れてもらえるような商品を開発しています。
世界中の人がイワシと言ったら日本の「下園薩男商店」と言ってもらえるような展開をしていきたいと思います。

その土地らしさをどのように継ぐのか

AIの進化によりおそらくすべてのコストが下がり、ボタンを押すだけでなんでも終わってしまう世界になるのではないだろかと思っています。
しかしコストはさがるけれど、どこに行っても同じものであふれている面白くない未来にもなりそうです。
人類が自由になるからこそ、その土地の特徴を活かした面白い!楽しい!というものをどれだけ作れるか、残せるかということが豊かさになってくると思うのです。
私たちは手間はかかるけれどもその土地らしさというコトに注目し、それを人々が楽しいと思ってくれるような商品やサービスを後世につなげていけたらと思います。